鍼灸について


初めての鍼灸

初めてやることは、何かと不安が付きものですね。これは、これから経験する内容をよく知らないために心から発する思いですね。まぁ、その人の性格にもよりますけどね。
そこで、出来るだけそういった不安を解消するために、げん気堂治療院で行っている鍼灸治療について簡単に解説をいたします。

来院前の準備

・特に用意するもの、準備するものはありません。
・服装も特に自由です。できれば、上は首もとがゆったりしたもので袖が肘の上までまくれるもの、下は膝の少し上までまくれるズボンといった全体的にゆったりしたスタイルがよいでしょう。
・髪の長い方は、後ろで束ねられるとよいでしょう。

治療に使うもの

まずは当院で使用する鍼(はり)です。その多くが太さ0.16mm~0.20mm程度のステンレスのものです。たまに0.24mmの鍼も使います。この数字だけではピーンとこないかも知れませんね。例えば、よく病院で使われる注射針、そのかなり細い注射針の穴の中に入ってしまうほどの太さです。または、髪の毛の太さは0.16mm~0.17mmですから、どの程度の太さの鍼か、なんとなくお分かりになると思います。
また、この鍼は1回こっきりの使い捨てなので、衛生面でも十分安全といえるでしょう。
ちなみに、この鍼を、どの位体内に入れるかといいますと、当院では多くは皮膚に触る程度~10mmくらいです。当然、この深さは患者さんの体型や体の場所、目的によって変わってきますが、当院は比較的浅く刺すのが特徴です。これは症状のある組織にむけて深く鍼を刺すというより、鍼から患部に向けて気をおくることで治療効果を上げているためです。

次にお灸ですが、当院では艾(もぐさ)を直接皮膚にのせて火をつけるパターンではなく、台座灸というお灸を使っています(イメージ的にはせんねん灸のような形)。 当院の台座灸の台紙にはセラミックが含まれており、これにより強いふく射熱が発生して、遠赤外線の熱が皮膚の表面だけではなく、体の奥深くまで浸透していきます。
熱さも数種類のものがあるので、皮膚の敏感な方はソフトなものを使用するとよいでしょう。

その他には、温熱療法用の器具(患部を暖め、緊張をほぐして血液循環をよくするもの)、治療に使った器具を滅菌・消毒する高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)などがあります。

治療時間について

鍼灸治療だけの場合、治療時間の目安は1時間程度です。初診の場合は、初めにいろいろ症状を聞いたり、身体をチェックしたりしてカルテを作成するため少し余分に時間がかかることがあります。

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鍼灸の作用

さて、ここでは鍼(はり)と灸(きゅう)を分けて、それぞれ一般的に知られている作用について解説することにします。

鍼施術の治療作用

この鍼施術の作用には代表的な6つの項目があります。
1 調整作用
これは組織・器官に適量の鍼刺激を与えて、その機能を調整する作用です。もう少し細かくいうと、痛みやけいれんを抑える鎮静作用や、機能低下の疾患に対して興奮を与えて回復させる興奮作用などです。
鎮静作用は、例えば神経痛や月経痛、下痢などに、興奮作用は知覚鈍麻や運動神経麻痺、弛緩性便秘などに有効であるとされています。

2 誘導作用
患部に直接刺激するか、またはこれより遠隔部位に鍼を刺して、血管に影響を及ぼして、患部の血液量を調整するものです。
さらに詳しく説明すると、直接その患部に刺激して、血液を他の健康部から誘導する患部誘導作用(筋の萎縮・麻痺、五十肩、肩こりの時など)や、局所的に血液量の過剰な疾患に対し、多少隔たった部に刺激し、その部に血液を誘導し、患部の血液量を調整する健部誘導作用(脳充血、腹腔内臓器のカタル性炎症)などがあります。

3 転調作用
自律神経失調症やアレルギー体質を改善して、体質を強壮にする作用です。

4 消炎作用
鍼治療により白血球は増加し鍼を刺した場所に集合する。また、促進させることによって、炎症の治療に効果を発揮するものです。

5 反射作用
患部から離れたところに刺鍼して、患部の機能を改善するもの。体制-内臓反射などを利用したものです。

6 防衛作用
白血球、血小板などの増多をきたし、また各種免疫物質の増生をまねいて各種疾患の治療機転を促進したり、また防衛力を高める作用です。

灸施術の治療作用

この灸の作用は主に次の3つの作用が知られています。
1 増血作用
白血球数の増多や機能亢進(機能を強くする)をきたし、長期間の施灸により、赤血球数・血色素量が増加させる作用です。貧血や慢性病に有効とされています。

2 止血作用
血液凝固時間が短縮する作用。

3 強心作用
心臓・血管などの収縮力増強などの作用。

鍼に比べてちょっとシンプルな感じもしますが、灸自体の大きな利点は、鍼と違って自分で自宅でもできるということです。ただし、やたらめったら灸をしても効果は期待できません。そこはやはり自分の症状にあったツボを、しっかり見極めなければなりません。『灸点をおろす』などといって、どの場所に灸をすると効果があるかを見極め、患者さんにお伝えするのも、われら鍼灸師の真価が問われるところですね。
これらの作用は西洋医学寄りのものが多く、鍼灸の作用のごく一部です。
また、これらは実は私が学生のころに作ったノートの一部を拝借したものです。
ちょっと難しい感じもしますが、平たく言うと、鍼の刺激で血液の流れを調整したり、免疫力をUPさせたり、人体の反射をうまく使って治療を行うといったところです。
ちなみにこの作用は鍼灸師国家試験に時々お目見えする内容です。
こういったもの以外に、解剖学や生理学、臨床医学に東洋医学、リハビリテーション学など、山のような知識を詰め込んで苦労しながら3年間もかけて国家資格を取得したんですね。

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鍼灸適応疾患

鍼灸院でよく耳にする症状には様々なものがあります。肩こりや腰痛、冷え症、五十肩、神経痛、生理痛、生理不順、etc…と、とても書きつくすことはできません。
そこで、ここでは鍼灸が有効な疾患の代表的なものとして、WHO(世界保健機構)で認められている疾患をご紹介します。

WHO(世界保健機構)による鍼灸治療適応症
分類 疾患名
運動器系疾患 関関節炎、リウマチ、頚肩腕症候群、五十肩、腱鞘炎、腰痛、外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
神経系疾患 神経痛、神経麻痺、痙攣、脳卒中後遺症、自律神経失調症、頭痛、めまい、不眠、神経症、ノイローゼ、ヒステリー
消化器系疾患 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)、胆嚢炎、肝機能障害、肝炎、胃十二指腸潰瘍、痔疾
呼吸器疾患 気管支炎、喘息、風邪および予防
循環器系疾患 心臓神経症、動脈硬化症、高血圧低血圧症、動悸、息切れ
代謝内分泌系疾患 バセドウ氏病、糖尿病、痛風、脚気、貧血
生殖・泌尿器系疾患 膀胱炎、尿道炎、性機能障害、尿閉、腎炎、前立腺肥大、陰萎
婦人科疾患 更年期障害、乳腺炎、白帯下、生理痛、月経不順、冷え性、血の道、不妊
小児科疾患 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)、小児喘息、アレルギー性湿疹、耳下腺炎、夜尿症、虚弱体質の改善
眼科疾患 眼精疲労、仮性近視、結膜炎、疲れ目、かすみ目、ものもらい
耳鼻咽喉科疾患 中耳炎、耳鳴、難聴、メニエル氏病、鼻出血、鼻炎、ちくのう、咽喉頭炎、へんとう炎


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