A. この質問はよく受けますね。特に初めての方は結構関心のある部分ですよね。これは他のいろいろなところで「痛くない」と書かれていることが多いですが、私は患者さんには「痛みがまったくないわけではありませんよ」と言ってしまいます。これは私の正直な気持ちです。
ただし痛みは個人の感受性によってかなり差がありますし、いつも刺すたびに痛みを感じるというものではありません。なるべく痛みのでない様に細い鍼を使用していますし、敏感な人や感じやすい身体の場所に刺す時は十分配慮をして治療をします。ですから、それほど心配する必要はありませんよ。
Q. 鍼の後はお風呂に入ってもいいの?
A. 患者さんの中には、よく鍼を刺した穴から、体内にバイ菌が入ったり、入浴すると水が入るのではと思われる方がみえます。でも、実際はそんなことはありません。鍼による穴は一瞬にしてふさがってしまいます。なぜなら、それは鍼の太さ(0.16mm~0.20mm程度)ゆえです。ですからお風呂に入っても特に問題はありません。
ただし、鍼をした後すぐ入浴すると疲れるなどの症状がでることがあるため、治療後1~2時間くらいたってから入浴することをお勧めします。
Q. 鍼は衛生面で大丈夫なのですか?
A. 鍼治療の衛生面で、特に注意を要することとして、やはり鍼による感染があげられます。この感染を防止するために、鍼を刺す前後で、しっかり皮膚の消毒をします。また、鍼自体はかつては専用機器で滅菌して使い回すことをしてたようですが、最近では多くが使い捨ての鍼を使用しています。ですから、鍼自体からの感染も心配する必要はありません。
Q. 鍼灸師、マッサージ師ってどんな人なの?
A. 正確には、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師とそれぞれ別の資格となります。この資格を取るには、専門の養成学校で3年間勉強します。その後、国家試験に合格すると免許が国から与えられます。
Q. お灸は痕がのこるのですか?
A. 当院で使用している台座灸の場合は、直接艾(もぐさ)を皮膚にのせて火をつけるわけではないので、それほど灸の痕がつくことはありません。
ただし、台座灸でも艾の量や質によっては、水膨れができることがあります。これもかなり熱さを我慢した結果なので、あまり熱いようであれば早めに取れば大丈夫だと思います。
Q. 鍼と灸ではどう違うのですか?
A. 鍼灸の作用で触れた一般的なそれぞれの作用の他に、その発生経緯によっての違いもあります。一つの考え方としては、鍼は経絡変調の調整から発生、発達したものですから、あくまで経絡を主とし、それに比べて灸は発生的に考えて治療点刺激から発達したもので、経穴(ツボ)を主とするといった感じです。ちょっと難しいですかね(^^;。
また、最近では、鍼は自律神経のうち交感神経の過緊張を抑制するのに対し、灸は副交感神経の過緊張を抑制する働きがあるという発表もされているようです。
Q. 効果があるのは“肩こり”や“腰痛”だけですか?
A. 鍼の効果は筋肉などの運動器系だけではなく、循環器系や消化器系、内分泌系など内臓にも威力を発揮します。当然、肩こりや腰痛にも高い効果がありますし、いまいち原因や症状のはっきりしない不定愁訴(何か怠いとか、だるやめるなど)の症状にも有効です。詳しくは「鍼灸適当疾患」をご覧下さい。
※「だるやめる」とはこの地方でつかわれる「怠い」と「病める」がミックスしたものらしいです。
Q. 金属アレルギーでも鍼は大丈夫ですか?
A. 金属アレルギーの場合、メガネや腕時計、ネックレスなど、長い時間同じ場所に金属が接触し続けている時などにアレルギー症状がでたりします。けれども、鍼の場合は、皮膚に接触する面積は非常に小さく、また時間も短いので、それほど心配する必要はありません。
ただし、持続的に使用する鍼(皮内鍼や円皮鍼など)の場合は、ご相談いただいた方がよいかもしれません。
A. のどはとても敏感な場所で、いろいろな原因で違和感、異物感、圧迫感などの症状がでることがあります。原因としては実際に咽頭部や扁桃、食道などに病的な異常がある場合、あるいは心因的要素が原因となっている場合などが考えられます。
専門医から特に異常がないと言われたとのことですから、後者の心因的要素が原因の可能性が高いかと思われます。
この様な症状は、自律神経失調症、心身症(神経過敏な人、心配性の人)、不安神経症、うつ状態の人にも多くみられます。ですから、鍼灸治療を用いて自律神経のバランスをとって、心身の調和をはかることで、症状の改善が十分期待できます。
Q. 鍼の後にアルコールを飲んでもいいですか?
A. 飲酒は鍼をした後でも特に問題はないと思います。当然、患者さん自身にアルコールを制限しなくてはいけない理由が有る場合は除きます。実際は鍼の後のお酒は美味しく感じるという方が多いようです。ですから、注意をするとすれば、「飲み過ぎ」です。身体に適量のお酒にとどめて置いてくださいね。
Q. 鍼は患部以外にも刺すのですか?
A. 患部を治療するというのは、自然な発想ですね。けれども、東洋医学の場合は、必ずしも患部=治療部位となるわけではありません。当然、凝りや痛みのある場所に鍼やお灸をすることもありますが、皆さんも聞いたことがある「ツボ」や現代的に表現すると鍼灸刺激の伝導路である「経絡」の流れ道などの反応点に鍼やお灸をすることの方が、結構多いです。そして、この反応点は患部の近くにあるとは限らないため、結果として「肩が痛いのに、どうして足に刺すんですか?」と尋ねられることになるのです。
Q. 鍼灸で糖尿病が治りますか?
A. この質問の回答は非常に難しいですね。WHO(世界保健機構)による鍼灸治療適応疾患に糖尿病は入っています。けれども、治るかどうかという質問に対してはYesともNoとも言えません。ただ、鍼灸には膵臓やその他の臓器の機能を高める作用があることは間違いありません。どこまで糖尿病が改善されるかは、やはり鍼灸治療を行い、経緯を観察する必要が有ると思います。それに、糖尿病自体の治療のポイントは「セルフケア」にあると言われているように、普段のご自身の生活環境の改善が何より病気の改善につながっていくと思います。
A. この方の場合は、婦人科系には特に異常がなかったので、超多忙による仕事の疲れやストレスによるホルモンのバランスの変調が原因のようでした。婦人科系の症状の多くには内分泌系(ホルモンなど)が密接に関係しています。この内分泌系は自律神経の影響も大きく、これらのバランスの調整に鍼灸治療はとても有効であると思います。
生理がこない原因の一つに、異常な体重の減少があります。最近では不適切な食事制限などによって引き起こされることが多いようです。くれぐれもダイエットのしすぎにはお気を付け下さい。